セイコーインスツル株式会社(略称:SII、社長:鎌田國雄、本社:千葉県千葉市)は、受光素子としてフォトダイオード(PD)や発光ダイオード(LED)といった光発電素子を組みあわせて消費電力ゼロ(nW・ナノワット級)*1の明暗検知スイッチを可能とする、世界初*2のゼロパワー*1光検出IC*3「S-5470」シリーズを製品化し、このほど受注を開始しました。SIIでは各種電子機器メーカーへ提案を進め、環境課題ともなっている待機電力の削減に貢献していきたいと考えています。
「S-5470」シリーズは、受光素子としてPDやLEDといった光発電素子を組み合わせ、明暗検知、遮光検知を行います。PDやLEDは光を当てると発電する性質があり、この光発電特性をセンシングに利用しています。しかし、これらが光を受けた時の発電量は大変小さいため、従来の方法で検出するにはIC内に増幅回路を組み込む必要があり、常時電流を消費していました。本「S-5470」シリーズはSII独自の極低消費電力のCMOS技術により、増幅回路無しでの検出を可能とし、消費電力ゼロ(nW級)を実現しました。本ICを応用することで、明暗検知スイッチや遮光検知スイッチを用いた各種電子機器の待機電力ゼロ化が可能となります。
本ICのアプリケーションとしては、明暗を検知して電源を自動的に切るオートパワーオフ機能、周囲が暗くなると自動点灯するオートライト機能、また受光素子に手をかざして影を作るだけでオン/オフする非接触スイッチなどが考えられます。具体的には手を添えると動作するワイヤレスマウス、ケースの取り外しでオン/オフが可能なスマートフォン、夜間の時計の鳴り止め、梱包箱を開けると自動でオンになる機器などが考えられます。
現在、家庭で使用されている電子機器の消費電力の6~10%程度が待機電力であると言われています。リモコンで電源をオフした状態のテレビやエアコンは、リモコン信号を受信する回路が常に動作しているため、数mW(ミリワット)の待機電力を消費します。また、AC/DCアダプタを内蔵する電子機器では、電子機器の電源がオフ状態でも、AC/DCアダプタで数mW以上の待機電力を消費します。また電池で駆動する携帯機器も同様で、待機電力は環境問題、省エネルギーの視点からも課題となっています。今後SIIでは各種電子機器メーカーへ提案を進め、待機電力削減に貢献していきたいと考えています。
【S-5470シリーズの主な特徴】
1. ゼロパワー 1nW(Typ.)以下*1
消費電流は電源電圧5.5V時に0.1nA(Typ.)。これにより消費電力は1nW(Typ.)以下と事実上ゼロパワーを実現しています。
2. 単機能な光検出に加え、2個の光発電素子による照度差検出も可能
1個の光発電素子を用いた明暗検知スイッチだけでなく、2個の光発電素子を用いた照度差による遮光検知スイッチにも利用可能です。
3. 様々な光発電素子との組み合わせが可能
本ICは、光発電素子を外付けとし、その光発電素子に発電量の少ない素子が利用できるため、太陽電池やPDやLEDといった様々な光発電素子との組み合わせが可能です。
4. 広い動作電圧範囲 0.9V~5.5V
乾電池1本の低電圧(0.9V)から5.5Vの高電圧まで広範囲の電圧で動作します。
5. パッケージ
SOT-23-5 (2.9×2.8×1.3mm)
【用途例】
・各種携帯機器のオートパワーオフ
-マウス、キーボード、リモートコントローラなどワイヤレス機器
-スマートフォン、タブレットPC
・オートライト
・非接触スイッチ
【データシートURL】 http://datasheet.sii-ic.com/jp/photo_ic/S5470_J.pdf
【サンプル価格】 200円
【販売目標】 2013年度、年間500万個
【注記】
*1 消費電力ゼロ、ゼロパワー:待機電力を測定するための国際規格 IEC 62301によると、5 mW(ミリワット) 未満の電力使用を「ゼロ」と見なしています。本製品の消費電力はnW(ナノワット)級であり、この規定の500万分の1となるため、消費電力ゼロ、ゼロパワーと表現しています。ちなみに1nWとは 1Wの10億分の1。一般的な液晶テレビの消費電力(100W)に対しては1000億分の1となる極めて微小な電力単位です。
*2 当社調べ
*3 光検出IC:ここでは外部受光素子として光発電素子を組み合わせ、光電流を検出することにより、明暗検知、遮光検知を行うことができるICとしています。
この件に関するお問い合わせ先
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半導体事業部 半導体営業総括部
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